川崎文具店

2017(平成29年)5.28 中日新聞西濃版

先日、中日新聞の西濃版に載せて頂きましたので、ブログにしてご紹介します。

「大垣 文房具店営む川崎さん 最高の万年筆 喜び共有」

 

「万年筆を超える筆記用具はない」。

万年筆の魅力に取りつかれた川崎紘嗣さん(40)にとって、文房具店の社長は天職だ。

「万年筆は、書く人のクセを吸収する。使えば使うほど成長する。」

店には20万を超える高価な万年筆もあり、11本が美術品のように展示されている。

 

大垣市桐ヶ崎町の川崎文具店は、1923(大正12)年創業の老舗。

5代目の紘嗣さんは2009年に店を継ぎ、コンセプトの「文房清玩」に合わせて店内の改装をした。

「文房清玩とは書斎にお客さんを招き、珍しい文房具をめでること。この店は私の書斎なんです」

改装では座ってじっくりと万年筆を試せるスペースもつくった。

「ものを売るだけではなく、文房具を使う雰囲気も含めて楽しんでほしい」とこだわり、壁紙もフランスから輸入した。

書斎のような雰囲気のおかげか、朝来店して夕方までずっと万年筆を試す客もいるという。

万年筆好きの間で川崎文具店の口コミが広がり、広島、兵庫、静岡と県外からやってくる人もいる。

「万年筆を座って試せる店は少ないからじゃないかな」と分析する。

試し書きスペースの様子

万年筆の試し書きには、インクの洗浄など手間がかかる。

それでも「万年筆を買おうとすれば1万円はする。筆記用具で1万円を出すのは簡単ではない。だからこそ試してほしい」と話す。

「店に置いてある万年筆は、数量限定品もある。売れてしまえば2度と手にすることができないかもしれない。「これは間違いない」っていう自信の万年筆が買われていくと、正直寂しい。でも独り占めせずに万年筆の良さをみんなで分け合いたい」

大垣ならではのものを作りたいと考え、文房具メーカーのセーラーと共同で柿渋色のインク「大柿セピア」を開発した。淡すぎず、暗すぎない色を求めて調整を重ねたこだわり商品。4月に20個ほど入荷すると、すぐに完売した。

2017(平成29年)5.28 中日新聞西濃版

西遊記2017  長永 みづき記者

 

9/11 現在では店頭にて常時販売しています。

 

<対談>万年筆について語る!その1

ITコンサルタント × 川崎文具店店主

今回のお相手は、ITコンサルタントとしてご活躍の、

(株)あずきプランニング 代表取締役 石井克成さんです。

普段はペリカンM800の中字をお使いの石井さん。

当店社長との万年筆談議に花が咲きます。

せっかくですので、M1000を試し書きして頂きました。

石井:わぁ、違う!これ、M1000?
川崎:M1000です。
石井:違う…。ぅわぁ、これちょっと…。筆みたい。
川崎:うん。筆ですね。ここから見てても、すごいもう、しなり方がハンパないくらいしなってますね。
石井:ほぉ~。すごいな、これ。(書いてて)気持ちいいね。
川崎:そうですね。
石井:力入れずにこんなに(インクが)出るもんね。
川崎:このペンはぜひね、紙よりも和紙で書いてもらいたいですね。
石井:和紙だと染みてきません?
川崎:インクによりますが、普通なら染みますね。ただ、和紙でも、和紙ってコウゾとかの素材の配合の具合によって、染みる染みないができてくるので、染みをもうちょっと極力抑えられる配合のものを選べば…。多分、できるはずです。(今のものより染みないです。)インクによっても変わるんですけどね。
石井:なるほど~。

 

川崎:普段使いならこっちかな、という気がします。。
石井:キングプロフィット?
川崎:はい。キングプロフィットです。
石井:(書いてみて)あぁ~、そうかもしれませんね。
川崎:細かい字でもきちっと対応できるんで。
石井:これは、このとき一発のサインとかに(良いですね)
川崎:完璧サインですね。

石井:(M1000とキングプロフィットを比べると)微妙に書き味違うなぁ。

こっち(キングプロフィット)の方がいいかな。滑りがいい気がする

川崎:(ペン先)21金なんです。
石井:あぁ、(違いは)そういうこと。ペン先そのものが柔らかいんだね。
川崎:そうです。材質そのものが柔らかいので、紙のあたりも優しい感じなんです。

石井:こっちはこっち(M1000)で、私にとってはこれもこれで(悪くないです)
川崎:ちなみにこれ、僕の一万円のペン先14金なんですけど(パイロット:カスタムヘリテージ91)、7年間使い続けたものです。
石井:ちょっと引っかかるけど、でも十分…これで一万円?
川崎:1万円です。最初はものすごく引っかかるペンでしたけど、使い続ける事によってここまで成長することが出来るんです。
石井:結構使い続けましたね?(笑)
川崎:書くというよりは、時間があったらずっとこうやって(ぐるぐる書いてました。)
石井:育てるためですか?
川崎:そうそう。8の字とか…
石井:(万年筆って)やっぱいろいろだなぁ。
川崎:奥が深い世界なんです。
石井:奥が深いですねぇ。

ー ひとことに万年筆といっても、メーカーやいろかたち、色々ありますね。

石井:昔テレビで、風間守男さんだったかな、イタリアのドルチェあたりに行って自分の万年筆を作った、っていう番組があって。
あれで万年筆おもしろそうだなぁって思って。色々調べて行くうちに、ペリカンに行きついたんです。
川崎:ペリカンは良いですよ~!
石井:最初、ドルチェのオレンジ、あるじゃないですか。ちょっと太い。(ドルチェビータ)最初あれがすごくいいなって思ったんですけど、なんでだろう、なんか…馴染まなかったのかなぁ。
川崎:そうですね…。イタリアのペンはどちらかというとデザイン!書き味はどちらかというと固めなんですよ。
ドイツは、柔らかいペン先が多い…のかな。ただ、モンブランはその中でも固めですね。
石井:ドイツは、基本柔らかいけどモンブランは固い?
川崎:簡単にいうと、ドイツは書き味にこだわっているような気がします。
それで、結局二極化して固いモンブランと柔らかいペリカンというのが主流メーカーになったんだと思います。
ドイツの製品は、書き味に特化しています。だからデザインもオーソドックスなものが多かったり、例えばペリカンならストライプ~とか。
基本のフラグシップモデルになってますよね。
逆にイタリアの場合は、スーツとかのフォーマルでも映えるように、という。トータルコーディネートでみてるので。
書き味も良いんですけど、それよりも、見た目に力を入れているって感じですね。

ー 近頃の文豪ブームに通じるものがありますよね。

川崎:文豪の人って、「書く」ということが仕事だと、仕事道具が一番重要なわけです。
石井:自分用の原稿用紙も、紙からこだわって…とか聞きますね。
川崎:東京の方へ行くと、未だに紙ベースの原稿にこだわって、ますや?すずや?の原稿用紙を使い続けている
石井:そういう原稿用紙を作っている会社がまだある?
川崎:あります。その会社の担当さんは、実際に文豪の方と会話して、どういう紙が欲しいのかということをリサーチしながら作りあげていって、未だにそれが販売されている、と。
石井:商売になっているの?
川崎:商売として成り立ってます。それをメイン商品として。買われる人もその「文豪が使ってたから」ってお求めになる方が多いと聞きます。
昔の「文豪」って、今でいうアイドルだったりスターだったりという位置づけのような。
表現する者、ある一種のエンターテイナーですよね。いわば活字文化の中において、物を書く人っていうのはスターだったわけです。
スターに憧れるっていうのは今でもありますよね。モデルさんがあの服着ているから私も…とか。
それと同じような感覚で、あの文豪さんが使ってたペンを…、となるわけです。

旅館とかに泊まり込んで執筆活動したり…って聞きますよね。使ってた部屋をファンの方が訪れて同じ空気感に浸りたい、
同じ感覚を味わいたい…なんていうのも未だに愛されてるってことですよね。
そのなかでも”ペン”というのは、文豪が思い描いたものを紙に描写する一番の道具、これがないと仕事にならないので。
そういう意味で、”ペン”というものが、思い入れが一番強いんじゃないかな、と。

ー どういうときに万年筆を使いますか?

石井:我々は、パソコンの使用が多くなって、意識して”書く”シーンが限られてきているような気がするのですが、普段はどんな風に使ったらいいですか?
川崎:僕の場合は、お客様と接する機会が多いので常に万年筆を触っているんですが、普段使いなら、例えば自分のアイデア帳とか。
会議のメモの走り書きとかでもいいと思いますよ。特にシーンを選ばず、構えずに使って貰えれば。
ボールペンよりも万年筆を使った方が想いが伝わりやすいっていうのと、(万年筆で書いた文字は)鉛筆とかシャーペンと違って消せないので、慎重に書きますでしょ?
だから丁寧に文字を書く事ができるし。
絵とかもそうなんですが、自分自身の思い描いたものを書ける、それに適しているんだと思います。
石井:私なんかだと、正式文書などは手書きじゃないし、昔はサインに…てのもあったけど、それももうPDF化しちゃってるから、普段”書く”ってことあんまりしないんだよね。
それで、昨日これ(自分の万年筆)をどうして使おうかと思ったかっていうと、考えまとめなきゃいけないことがあって。
以前、よくやってたのが、裏紙にぶわ~って考えを書くんですよ。最後捨てちゃうんだけど。それやるためにわざわざ出してきたんです。
(川崎さんが)おっしゃったみたいに、これで書くとまとまる、気が、するんです(笑)
川崎:それでいいんですよ(笑)そんなもんです(笑)
そういう意味では、筆記用具の中では特殊なペンかもしれませんね。
万年筆の「万年」は半永久的に、「筆」は毛筆の筆なんですが、例えば毛筆で字を書こうとする時って普通とちょっと感覚違うと思うんですよ。
墨下ろして、墨付けて、っていう行程。姿勢正しますしね。それ以前に机の上片付けますでしょ?
石井:そもそも、だね(笑)
川崎:そもそもの段階で、ですね(笑)
机持ってきて、墨持ってきて、水差し持ってきて、紙、文鎮用意して、ふぅ~って気持ち落ち着かせて…という一連の動作を簡略化した物が万年筆だなので、ボールペンとかシャーペンとはわけが違うと思うんです。その毛筆の一連の動作が万年筆でいうところのキャップを開けるところからに集約されているのではないかな、と。
石井:確かにね!私も普段はお客さんのところ行ってメモしたり、スケジュール書いたりとかはもっぱらフリクションで。これ消せるし、色んな色あるし。
便利なんで、色々使ってるんですが、便利なのはやっぱりこういうのなんだね。
今の話しで思い出したんですけど、万年筆出してきて、久しぶりなんで洗って、インクを入れて、試し書きして、いったん置いて、机の上整理して(笑)さらにコーヒーなんか用意しちゃって(笑)紙は雑紙なんで良いんですけど、「さぁ~、やるか~」って。確かにある(笑)
川崎:そういう昔からの日本の所作というか、作法と言うか?心構えみたいなものが最終的に息づいたのかな、と思いますね。
石井:確かにね。
川崎:だからこそ魅力を感じるのかな、と。

石井:それと、M800は¥50,000位(当時)かな。安くないじゃないですか。大事にしてるつもりなんですけど。
これで書こうとすると、やっぱり気合が入る。5~6,000円のも持ってますけど、今ほとんど使ってないですけど(笑)
あれは、フリクションペンと同じような感じ。感覚的に。あれで書く時は、多分昨日みたいな用意しないですね(笑)
まんまいくでしょう。高いからイイってわけでもないんだけど、これ(M800)を使うときは、わざわざそれなりのシチュエーションを構築していく、ってことなんでしょうね。
意識してないんですけどね、話してて思いました。
川崎:僕、今良いこと言ったかも!?(笑)メモしておかないと(笑)

石井さん、ありがとうございました!

2017.03.16 川崎文具店店内にて