「インペリアル敷島」シリーズは、日本の和歌と枕詞をイメージした全72色になるカラーインクです。
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今回は【ちはやぶる】について。
和歌「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くぐるとは」
在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)古今和歌集より
歌意
「さまざまな不思議なことが起こっていたという神代の昔でさえも、聞いたことがありません。
竜田川の水面一面に、紅葉がちりばめられ、その下を水が潜り流れているなんて。」
枕詞 (かかる言葉)
「ちはやぶる」→(神・うぢ・金の岬・わが大君)
「ちはやふる」という言葉自体は、お聞き覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
小倉百人一首の競技かるたを題材に、漫画や映画にもなりましたね。
この「ちはやふる」は、荒々しくふるまうことを意味する「いちはやぶ」という動詞から出た言葉と言われています。
色のイメージは、「水面に浮かんだ紅葉の色」
この句は、作者の在原業平朝臣が二条后・高子(にじょうのきさき・たかいこ)に献上された屏風絵を見て、歌を詠むように依頼されて詠んだ句です。
二条后とは、清和天皇の后・藤原高子のことで、実は二人は元恋人同士だったとか。
業平が、元恋人へのかつての情熱を歌に込めているともいわれています。
紅葉の赤さ、紅葉の下を流れる水の勢い、そして激しくも静かな水面が目に浮かぶようです。
2人は結ばれない運命でしたが、良い恋愛だったんだなぁ・・・って感じが伝わります。
他の和歌でも言えることですが、詠み方が微妙に違っている場合があり、それによって解釈も様々です。
たとえば、この句の場合、「ちはやぶる」=(ちはやふる)どちらも同じです。
そして「水くくるとは」
「くくる」と「くぐる」の場合があります。
「くくる」だと、「絞り染(くくりそめ)」という反物に見立てるので、紅葉の浮かんだ竜田川を”絞り染のように美しい”と訳します。
「くぐる」だと、川全体を紅葉が埋め尽くし水がその下を潜るように流れている状態を言うので、一時期の激しい情熱を密かに伝えるならより赤い色の多い方、
つまり「くぐる」ではないか。
・・・とも言われています。
当時の詠み人の立場や心情を考えながら和歌の意味を考えてみるのも面白いですね。
今回は、参考文献に基づいて「ちはやぶる」「水くぐる」としました。
こちらのインペリアル敷島は「ひとりインクメーカー インクバロン」が1つ1つ丁寧に大切に作る関係上、少数しかお作りできません。
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