川崎文具店オリジナルインク第2弾!!
地元・大垣にゆかりのある人物をイメージしたカラーインク「月華紅蘭」(げっかこうらん)です。
その人物とは「梁川紅蘭」(やながわ こうらん)
一体どんな人物なのか…?
歴史の勉強がてら、ご紹介していきましょう。
時は幕末、美濃の国(現在の大垣・曽根)で、紅蘭は生まれ育ちました。
14歳の頃、梁川星巌(やながわ せいがん)が開いた塾で、漢詩の指導を受けます。
梁川星巌とは、同じく美濃の国(現在の大垣・曽根)出身の漢詩人で、紅蘭とはまたいとこにあたります。
17歳の頃、紅蘭は星巌と結婚します。
ですが星巌は間もなく旅に出てしまい、3年ほど帰ってきませんでした。
星巌が留守の間、紅蘭は裁縫と三体詩という宋(中国)の詩集の暗誦を命じられていたそうです。
帰ってきた星巌を迎えた紅蘭は、命じられていた三体詩の暗誦をみごとにやってのけ、さらには一首の詩をもよんだということです。
その詩がこちら
階前栽芍薬。堂後蒔當歸。
一花還一草。情緒兩依依。
<訳>
階前栽芍薬
きざはしの前には芍薬を植え、
堂後蒔當歸
座敷のうしろには當歸(とうき)をまきました。
どちらも薬用植物だが、〈當歸 とうき〉は〈まさにかえるべし〉と訓読できるので、〈きっと帰ってくるだろう〉の意味がこめられている。
一花還一草
花には私の姿をうつし、草には私の心を込めて。
情緒兩依依
ああ、私の想いは、この花とこの草に離れたことはありませぬ。
その後も星巌は放浪の旅を続けますが、これ以降は夫婦共に全国を旅していきます。
この時代、女性を伴って旅をすることは珍しかったようですが、星巌は紅蘭の一途な想いを受け止めるとともに、その才覚を認めたということでしょう。
自らも女流漢詩人としての道を歩んでいった紅蘭ですが、55歳の頃、夫・星巌がコレラで病死してしまいます。
ほどなくして、なんと紅蘭自身が安政の大獄で捕らえられてしまいます。
安政の大獄とは、江戸幕府が行った尊皇攘夷派や志士(活動家)らを捕らえ、死刑や島流しなどの追放処分・処罰を行った弾圧のことです。
星巌は、討幕論者であった吉田松陰や、幕末の志士として活動していた橋本左内 他と交流があったことから、捕縛の対象となったようです。
しかし、いざ捕まる!となった直前に、星巌は病死。紅蘭は星巌の身代わりとして捕らえられたというのです。
そして尋問の末、約5カ月後に釈放されました。
一説では捕らえられる前に星巌と交流のあった人物(吉田松陰、橋本左内など)との手紙などの書類を焼却していた、とのこと。
そのため、幕府側はめぼしい証拠がなかったために、やむなく拘束を解いた、とも言われています。
時事状況を読む力、内助の功が自身の助けとなったのですね。
晩年は京都にて私塾を開き、漢詩の指導や画家、書家としての作品も残したとされています。
今回は、そんな一途で聡明な彼女をイメージし、彼女の雅号と名前から「月華紅蘭」という深緋色のインクに仕上げました。
インクの色味を楽しんで頂くとともに、歴史上の出来事や地元ゆかりの人物に触れ、身近に感じていただければ、嬉しく思います。
月華紅蘭 500ml ¥2,500―(税抜)